フルーレは、3種目の競技のうち一番基本的となるもので、突きだけを用います。
昔、まだ剣術の練習に真剣を使っていた(マスクもなかった)頃、危険を避けるため相手が攻撃をしてきた場合、その剣を払ってからでなければ反撃してはならないという決まりがありました。フルーレはこの練習のための技術がスポーツ化したものです。
フルーレでは「攻撃をするためには、まず腕を伸ばす」ことから始まり「攻撃されれば、相手の剣を完全に払いのけて攻撃」をしなければなりません。また、剣を持って向かい合った両選手のうち、先に腕を伸ばし剣先を相手に向けた方に「優先権」が生じます。相手がその剣を払ったり叩いたりして向けられた剣先を逸らせる、間合いを切って逃げ切るなどすると、「優先権」が消滅し、逆に相手が「優先権(すなわち反撃の権利)」を得ることになります。
フランスでは、この剣と剣の攻防をPhrase d’ arme:フラーズ・ダ・ルム(剣と剣の旋律)と表現します。
フルーレには有効面と無効面があり、有効面は金属繊維で出来ているジャケットを着用した部分(頭・両足・両腕を除いた胴体部分すべて)とマスクの一部(ビブ)です。その部分を突くと突いた選手側の「赤」または「緑」の色ランプが点灯し、突いた選手の得点が入ります。無効面を突くと、「白」のランプが点灯します。
両方のランプがほとんど同じに点灯した場合などは、試合規則によってどちらかの攻撃が有効であったか、あるいは「同時攻撃」であったかを、主審が判定します。
このように、攻撃―防御―反撃―再反撃といった瞬時の技と動作の応酬(剣のやりとり)がこの種目の見どころになっています。
剣先には500gの強さのバネが入っていて、これ以上の力で突くとランプが点灯します。剣はしなやかで、昔、剣先に色のついたポイントをつけていたため、フランス人はこの種目を花(Fleure:フルール)にたとえたことから、「フルーレ」という名前が生まれました。
フルーレの有効面は胴体のみ
(背中を含む)
エペは、正式の決闘武器として行われたものが競技化したもので、全身(頭から爪先)どこを突いても有効となり、色ランプがつき、突いた選手に得点が入ります。基本ルールは単純明快。全身すべてが有効面で、先に突いた方にポイントが入り、両者同時に突いた場合は双方のポイントとなります。ランプの点灯に注目していればどちらの選手がポイントを挙げたか判断できるので、最もわかりやすい種目と言えます。
全身が有効面という中、1/25秒差以内の素早い突きが要求されるため、試合中は両選手の張り詰めた気迫が感じられます。
西洋の決闘では、自分の名誉を守るために行うため相手けがを負わせたら終わりです。その時、自分も怪我を負う場合もあるため、エペには相打ち(同時突き)の判定があるのです。
前腕を狙っての攻防から一転、つま先への意表を突く攻め、あるいは機を見て思い切った接近戦に持ち込むなど、スピーディかつ変化に富んだ試合展開が見どころとなります。
剣先には750gの強さのバネが入っていて、これ以上の力で突くとランプが点灯します。ラピエールという決闘用剣の流れを受け継ぎ、昔ながらの三角形の剣身を持った、風格のある形をしています。
エペは全身が有効面
(足の裏も有効)
サーブルはその昔、ウラル山脈地域の騎馬民族が行っていた剣術で、9世紀に今のハンガリーに根を降ろしました。フランス等西ヨーロッパ諸国ではあまり普及しませんでしたが、馬上の剣術として19世紀にイタリアにおいて、現在見られる形式が出来あがりました。
馬上で行う軍刀術が競技化した種目で、フルーレとエペが「突き」だけの競技であるのに対し、サーブルには「斬り(カット)」と「突き」があります。
サーブルにも、有効面と無効面があります。有効面は選手の腰から上の部分で、頭・両腕も含まれます。これは、昔、戦いのときに相手の馬を傷つけることを避けるために、腰から下は攻めなかったことから来ています。
判定は、電気審判器を用いています。フルーレ同様細かな規則が決められているため、攻撃権の取り合い、防御の方法等が判定に影響します。
ルールはフルーレと同様「優先権」に基づいていますが、「斬り」の技が加わる分、よりダイナミックな攻防が見られます。
剣身は扁平で刃がついており、いわゆる「みね」の部分も剣先1/3が裏刃になっていて、その「刃」の部分で切れば有効となります。
サーブルの有効面は上半身のみ
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