公益社団法人 日本フェンシング協会

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週刊新潮(2020年6月11日号)記事内容についてのQ&A

週刊新潮(2020年6月11日号)記事内容についてのQ&A

 

(1)グラビア・ページ

Q:「運転手付きの大型ワンボックスカー」とは、協会の社用車および運転手でしょうか。

A:いいえ、違います。この車は太田雄貴の個人事務所の社用車としてリース契約している車両で、スポンサー企業から協会や太田個人に対して貸与された車を個人利用しているのではありません。また運転をしていたのは太田雄貴の個人事務所のビジネス・パートナーとして太田とともに働いている者であり、当協会が雇用している者でもありません。(尚、当該記者は取材の際、太田本人から直接この事実を聞いています。)

 

Q:「海外遠征に自腹を切らされたことを機に、選手たちの不満が渦巻いているのである」という記述は正しいでしょうか。

A:事実に反します。当協会の海外遠征は、過去・現在を通じ、補助の対象とならない部分は選手の個人負担としています。(この背景には、フェンシング特有の海外遠征負担の多い特殊性がありますが、これについては、別途ご説明致します。)例えば2018年度は、シニア・ナショナル・チームの遠征費用約1億8千万円の内、約1億円(56%程度)が助成金で賄われ、残りの約8千万円(44%程度)が選手の自己負担でした。フェンシング競技の特殊性から、年間を通して選手自身が少なくともその一部を負担することは一般的な事柄です。

 

(2)本誌記事

Q:「『昨年7月の世界選手権終了後、トップ選手ですら遠征費は自腹になった。どうやら、日本オリンピック委員会(JOC)から半年ごとに助成を受けていた強化費が、半年経たないうちに底をついたそうなんです』(同) つまりは協会から“遠征費は自己負担せよ”というお触れが回ったというのだ。選手に使われるべきお金が、なぜ消えてしまったのか。」という記述は正しいでしょうか。

A:正しくありません。幾つかの誤解があると考えられます。

・JOCの助成金は「年度」単位で支給されます。半年ごとではありません。

・一般的に助成金は当該事業にのみ使用でき他の使途に使用することはできず、JOCの遠征に関する助成金も例外ではなく、遠征に用いない限り「消える」ことはありません。また、過去も現状においても、全ての選手の海外遠征を協会が負担出来る財務構造は有しておりません。(この背景には、フェンシング特有の海外遠征負担の多い特殊性がありますが、これについては、別途ご説明致します。)

・「トップ選手ですら遠征費は自腹になった」とありますが、この記事で明示的に引用されている選手には、世界ランキング上位選手は含まれておりません。また、現状では、世界ランキング上位選手も含め年間を通じて全額協会負担ではありません。

・一方、2019年度は助成金が減る中で、オリンピック出場権の選考期間であり、積極的に海外遠征を行っており、結果として選手の自己負担が増加したのは事実です。また、年度前半から積極的に助成金を適用し海外遠征を前向きに推進した結果、年度後半の助成金の適用が相対的に薄くなったことも事実です。

 

Q:「昨年、ハンガリーの首都・ブダペストで開かれた世界選手権で『想定外の出費』があったと言われたのです。協会は選手団(総勢56名)を派遣するため、旅行会社に手配を依頼。ところが、渡航費や滞在費などの金額が、当初の見積もりの2倍、2800万円にまで跳ね上がったというんです。しかも、協会は言われるがままその金額を支払い、選手に使うお金がなくなったとか。」という記述は正しいでしょうか。

A:正しくありません。適切に事実を反映していないと考えます。

・2019年度の世界選手権は2020年の東京オリンピック出場権を獲得するポイントが最も高く、非常に重要な大会でした。このため、強化本部では参加する選手たちが最高の環境で臨むことが出来るように、6種目中4種目で海外での事前合宿を行うこととしました。この海外合宿は受け入れ可能な強豪国で実施されるため、世界選手権が実施されたハンガリー以外の国での開催となりました(男女フルーレはフランス、男女エペはロシアで実施)。結果的に、世界選手権の費用が増加したというよりは、この事前合宿費用が主な要因となって海外遠征費用を押し上げたというのが実態です。また、事前合宿の実施は、強化本部として事前の意思決定であり、これらの意味において「意図しない費用の増加」ではありません。

・また、上記にともなう費用の増分については、団派遣予算の予備費等を充てたため、それまで計画していた海外遠征予算の減額はしておりません。

 

Q:それでは、何故、「遠征費が全て自腹となったことで、いよいよ選手たちが声を上げた」のでしょうか。

A:この記述も誤解を生じさせるものです。

・遠征費は年度単位で一定金額が助成金の対象となっており、全体としてみれば「遠征費が全て自腹」になることはありません。少なくとも、世界選手権やアジア選手権に出場した選手の費用は協会負担(自己負担なし)となっていますし、その他国際競技試合でも協会により一定の金額を負担しています。

 

Q:それでは、何故、協会は選手の自己負担を無くさないのでしょうか。

A:フェンシング競技には多くの選手を海外派遣せざるを得ない特殊性があり、現状の財政では全額負担が困難であることをご理解ください。

・シニアの国際大会では1種目あたり最大12名の選手が海外の大会に参加でき、1回あたり6種目で最大72名の選手が海外に遠征に出ます。各種目年間8つの海外大会に加え、世界選手権とアジア選手権が開催されます((注)この2大会は1種目4ないし5名が派遣対象となる)。このように年間述べ最大6百数十名もの選手が国際大会に出場しています。さらに合宿等も含めると、選手は年間3か月強、海外に出ている計算となり多くの費用が必要となっています(2018年度実績に基づく)。

 

Q:海外遠征に参加する選手を減らせばよいのではないでしょうか。

A:それも一つの方法ではありますが、十分な検討が必要と考えます。

・1試合当たり最大12名に参加枠が拡大されたのは近年のことですが(それまでは8名)、現状、その枠を使い切ることは多くありません。種目により若干の差はありますが、原則として、国際競技水準に見合った力量を持つ選手、あるいは、若手としてそこに至るポテンシャルを十分に有している選手に参加を限定しているからです。

・また、限られた助成金に対し、派遣人数を減らすことによって、数字上の選手の自己負担を抑えられるのは事実です。その一方で、極端に派遣選手を減らすことは、国際大会に出場し経験を積むチャンスを選手から奪い、長い目で見れば、日本の競技力を低下させる可能性が高いと懸念しています。2008年、2012年のオリンピックにおいて男子のフルーレ種目で日本はメダルを獲得することが出来ましたが、現状の6種目全体の競技力は、その当時と比べて大きく上昇しています。例えば、男子エペの見延和靖選手は昨シーズン年間世界ランキング1位となりました。これは太田雄貴も現役時代に成しえなかった偉業です。また、男子エペや女子フルーレの団体戦世界ランキングは、男子フルーレを上回る水準となっています。このような競技力向上には、有力なコーチ獲得もさることながら、国際大会への多くの選手派遣がその原動力となってきました。

・一方、助成金の減額も見込まれる中で、選手負担はさらに増大することが懸念されます。これらのバランスに配慮し、適正な派遣人数を探っていきたいと考えています。

 

〔種目別団体戦世界ランキング順位推移〕

横軸は年度、記号横の数字は年間ランキング順位

ME:男子エペ、WF:女子フルーレ、MF:男子フルーレ

(出所:FIE(国際フェンシング連盟))

(注)今シーズンは現時点

 

Q:日本代表選手に対するサポートは海外遠征だけですか。

A:日本代表選手は、海外から招聘されたコーチ(4名)を含むコーチ陣やトレーナー、戦略分析を担当するテクニカル・アナリスト等のサポートを受け、ナショナル・トレーニング・センターで練習出来る環境を与えられています。NTC Eastにこの度新設されたフェンシングの練習場には30ものピスト(フェンシング競技を行うためのエリア)が常設されています。これらのコストは少なく見積もって年間1億7千万円程度であり、その費用は全額協会負担です。日本代表選手は、海外派遣だけではなく、多くのサポートを受けて戦っているといえます。

 

Q:「試合の合間に、帯同していた強化本部長と理事がホテルのバーで飲酒をしていた。」「日本チームが新ルールの認識不足で反則負け」「強化本部長は女子選手に対してセクハラ発言をしていた」「これについて協会側は、『(強化本部長に)厳重注意というような形で、一応処分はしている』」という記述は正しいでしょうか。

A:この記事は、幾つかの点で読者を誤った理解に誘導するものです。いずれのケースも、当協会の倫理・懲戒規程違反や行動規範に違反したコンプライアンス上の問題行為として、当協会が処分した事象ではありません。しかしながら、重要な立場にある役職者が誤解を招きかねない行動をすれば、協会やスポーツ全体のレピュテーション(名声)を毀損するリスクがあることから、慎重を期して行動する様に注意を促したものです。

・欧州等海外の競技大会ではアルコールが提供される行事や場所も多く、試合の合間ホテルの昼食時などに飲酒していたという行為については、例えば未成年の飲酒等とは異なり、それ自体は直ちに違反行為ではありません。

・また、指摘されている日本チームの敗戦は「反則」ではなく、今年度から適用された複雑なルールに関して競技参加者の解釈の齟齬からルールに即して敗戦したものです。ルール解釈の検討不足や審判とのコミュニケーションの不十分性について厳しく反省すべき残念な事象ではありますが、上記の行動と結びつける理由はありません。

・セクハラ発言については、現在に至るまで被害申告の内部通報はなく、コンプライアンス事案として取り扱う対象とはなっておりません。したがって、処分はありません。

・当協会は週刊新潮記者からの問い合わせに対し、これらについて「厳重注意」の対応を伝えておりますが、これまで説明申し上げた様に、当協会の倫理・懲戒規程違反や行動規範に違反した行為として当協会が処分したものではなく、重要な立場にある役職者が誤解を招きかねない行動をすれば、協会やスポーツ全体のレピュテーション(名声)を毀損するリスクがあることから、慎重を期して行動する様に注意を促したものです。

以上

上記内容をPDF化しました。

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